特ダネ! ぬすばれた<昴>

〜さらば「愛しき日々」よ(爆)〜

written by 姉簾戸照美
はじめに
 「昴」はアジア、そして20世紀を代表する歌としても万人が認めるところですが、その「昴」が意外なところでパクられていました。しかも「群青」とセットで。おまけに、チンペイさんと縁のあるところです。それは、サンライズのアニメ「太陽の牙ダグラム」の主題歌です。曲名は「さらばやさしき日々よ」(歌:麻田マモル)。サンライズと言えばあなた、機動戦士ガンダムを作ったプロダクションではありませんか! あの<AURA>を直接チンペイさんに依頼してきた、富野監督がいるプロダクションとしても有名ですよね。
1.「太陽の牙ダグラム」とは何か

 「太陽の牙ダグラム」は、1981年に日本サンライズが製作したロボットアニメで、リアル指向を徹底的に追求し、複雑なストーリーと人間模様を織り込むことによって社会人をも巻き込み、全75話、平均視聴率約10%というロングランを記録したヒット作品です。そして、ストーリーは次のようなものでした。

 スタフェラス二重太陽系第5惑星デロイアは、地球政府の植民惑星だったため、その惑星の民衆は独立運動を起こした。 主人公のクリン・カシムは、地球連邦評議会議長ドナン・カシムの息子であるにもかかわらず、デロイアの現状を見るにあたり、地球人であることを捨て、ゲリラ・デロイア7に参加した。クリンは、独立運動の象徴であり、機動兵器でもあるコンバット・アーマー・ダグラムのパイロットとして戦火を戦い抜いていく。

 マニアな人向けに、LDボックスが出ていますので買って見てみましょう。ちなみに、現在はビデオの発売はありませんので、主題歌を聴くには、LDを買うか、CDシングルを買わなければなりません。ちょうどいいことに、1998年の8月21日にキングレコードから主題歌(CDシングル)が再発されています(KIDA-2117)。是非聴いてみましょう。

2.冬木透という作曲家
 この「ダグラム」の主題歌を作曲したのが、「冬木透」という人です。いろいろと調べてみると、意外なことが分かりました。彼は実にたくさんのテレビ番組の音楽を担当されています。代表的なものでは「鞍馬天狗」、「銭形平次捕物控」、「ウルトラセブン」、「帰ってきたウルトラマン」、「ミラーマン」、「ウルトラマンA」、「ファイヤーマン」、「ウルトラマン80」、「牧場の少女カトリ」、「機甲界ガリアン」、「機動警察パトレイバー(2曲のみ)」で、円谷プロダクションの特撮番組が多いようですね。もともと、TBSの効果マンをしていたそうで、その音楽性は高く評価されています。2001年には、怪獣を倒すのではなく「保護」するのが目的、という「ウルトラマンコスモス」の音楽を担当しました。
←この方が、作曲家・冬木透さんです。
3.どこが似ているのか
 その前に、この曲を知らない方のためにここにMIDIを置いておきますので聴いてみて下さい。
 まずはイントロ。これはもろに「昴」のホーンセクションのメロをアレンジして使っています。「昴」では、次にギターのアルペジオが入るのですが、こちらの方はピアノのアルペジオです。そして曲の構成はA-A'-Bなのに対して、「昴」はA-B-C、そして「群青」はA-A'-B-A''です。
 A'からサビのBへ至る盛り上げ方は、「くるぞ、くるぞ、来た〜!」という定石を踏んでいますが素晴らしい構成です。
 問題はサビです。「さらば〜やさしき日々よ」の「さらば〜」の部分は、「群青」の「せめて〜海に咲け」の「せめて〜」の部分と似ています。いわゆる、チンペイさんお得意の下からのスクイ上げです。
  イントロ、サビ、この二つの要素がこの曲を「さらばやさしき日々よ」たらしめているのは確かですが、やはり「昴」「群青」の影響は隠せないでしょう。しかも1981年に発売ということは、「昴」が1980年、そして「群青」は1981年7月年に発売されており、しかもダグラムは1981年10月からの放送だったことを考えると、とってもタイムリーです。しかも、歌詞には「荒ぶる魂」というのも出てきます。
 ただ不思議なのは、なぜロボットアニメの主題歌にチンペイさんの曲のパクリが使われたのかということです。考えれば考えるほど謎が深まります。そしてこの曲に関して、チンペイさんのコメントがないのも不思議です。おそらく耳にしているはずなのですが……。一度、チンペイさんにコメントを頂きたいと思っているんですけどねぇ。
おわりに
 これまで見てきたように、「昴」と「群青」のいいとこどりをしてしまった「さらばやさしき日々よ」は、本当にチンペイさんの曲ではないかと信じてしまうほどよくできています。一瞬、この作曲家の方がひょっとしたら才能があるのではないか、と錯覚までしてしまうほどで、山田君にお願いして( ^o^)ノ◇◇◇:ザブトン3枚あげたくなるほどです。
 結局、この曲はチンペイさんの偉大さをさらにアピールすることができた曲ではないか、と思っている次第です。みなさん、いかがでしょうか? チンペイさんがあまりに偉大だったので頼みにくかったのでしょうか? そういえば、この曲がリリースされた翌年に、チンペイさんはやしきたかじんさんに「砂の十字架」を提供しています。もちろんあのアニメ「ガンダム」で使われて、たかじんさんを代表するヒット曲となりました。
 個人的には、どうしても「さらばやさしき日々よ」のホーンのソロを思い浮かべていると「上野発の夜行列車〜」と「津軽海峡冬景色」に結び付いてしまうのですが……。ということは、チンペイさんは演歌だったということになる……? いや、そんなことはありません。ありえません! 機会があったら、ぜひチンペイさんに「さらばやさしき日々よ」、ではなく「さらば愛しき日々よ」と歌詞を変えてカヴァーしてもらいたいものです(^-^;。
追伸その1(2001.11.24)
 「太陽の牙ダグラム」のシングルレコードのジャケットを掲載しました。
こちらが主題歌を歌っている、麻田マモルさんです。

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