01.散りゆく花 |
ALICE2に収録されている、初期の代表曲の一つ。「ちーりーゆーくはなの〜」という出だしは迫力満点です。きんちゃんによると二人のコーラスでバーン!と入る曲は、「冬の稲妻」とこの曲くらいだとか。そういう意味で、オープニングでこの曲が選ばれたのはごく自然なことだったのかもしれません。
アリス2で聞いたときは、名曲だが曲とアレンジのバランスが今ひとつ、という印象を受けていたのですが、今回の新録音は、曲調とアレンジが調和していると思いました。「足を止め」の後のドラムなんか最高です。オリジナルという枠がないので明石氏もやりたいように編曲できたのでしょうか、のびのびした感じに仕上がったと思います。歌唱もエネルギー爆発という感じで突っ走っています。オープニングにはうってつけですね。 |
02.夢去りし街角 |
オリジナルの再現という点では、もっとも上手くいった曲です。特にハーモニカの再現力はすごい。意地悪な友人は「リマスタリングしただけじゃないか」(笑)とか言っていますが、そんな事はありません。ここまで出来る明石昌夫氏の力量はスゴイ。まさに編曲の勝利です。歌唱の方も肩の力の抜けた今のアリスが上手く表現されていて、聞き飽きません。この曲が2曲目に来たのもこの完成度からではないかと邪推したくなるくらいの出来です。どうでもいい話ですが、ハーモニカ、オリジナルよりものっぺりした感じになっているところからして、ひょっとしたら打ち込みかも。 |
03.ライトハウス |
新曲第一弾。8ビートのロックです。この曲は、なんだかんだ言って佳曲だと思います。最初、新曲の題名が「ライトハウス」と知ったときには、正直「おいおい、大丈夫かい?」と思いました。しかしそれは杞憂に過ぎませんでした。さすが谷村・堀内のゴールデンコンビだけあります。まず詩。「俺達といえる歓び」。これだけでしびれてしまいます。「勇気こそが永遠に消えないもの」も泣かせます。3人にとって、アリス再結成も「勇気」のいる決断であったことを思えばなおこの詩に深みが増すように思います。次に曲。激しくもなく大人しくもなく。何度も聞き返すことのできる「するめ」のような曲になったと思います。 |
04.冬の稲妻 |
ずばり「カッコイイ」!!まず、声に処理を施してあるのが成功しています。おかげでノリノリのロックといった感じが出たし、グルーブ感も増したように思います。次に、「チャンピオン」で失敗している「ひずんだエレキギター」もここでは大成功。曲のカッコよさが引き立ちました。さらに、「忘れない〜」のところがハモっているのもいいです。そして、ギターソロもいい音だしてます。あとドラムの音も良かった。いいことずくめです。 |
05.ジョニーの子守唄 |
これもいいです。オリジナルを崩さない程度に音の厚みをます編曲の妙が光ります。「君の動きを追いかけていた」の後にこれまた「ひずんだエレキギター」が登場しますが、不自然さもなく上手くいっています。女性コーラスも最高の出来です。ギターソロもいい。もともと「ジョニーの子守唄」のギターソロのメロディラインは、JPOP史上に残るかっこよさだと思っている私もうれしいです。ベーヤンが「ん〜」とか言っているのも分かります。ただ、私としてはギターソロをじっくり聞きたい気もしましたけど。 |
06.涙の誓い |
この曲は、「0001」の中でもっとも出来の悪い曲です。まず歌唱です。なんか大人しくなりすぎていると思います。また、曲の最後で「オーイエー」とやっていますが、必要ないと思います。次にアレンジです。オリジナルをベースにキーボードやエレキギターなどが加えてあります。しかしそれにしても、「遠ざかる想い出のかけら」の後のキーボードはあまりにも安っぽすぎます。大失敗以外の何者でもないでしょう。この曲のサウンド全部がチープになってしまいました。
シングルで売れたからと言ってこの曲を記念すべき「0001」に入れる必要はなかったのではないでしょうか。代わりに「愛の光」(この曲はかっこいい!)あたりを入れた方が古くからのファンは喜んだと思います。 |
07.
Love Songを忘れない |
新曲の第二弾です。普通のバラード曲だな、というのが正直な感想です。歌詞の方もなんか中途半場です。「長い夜を越えて待ち続けたこの夜明け」という歌詞にアリス再結成を重ね合わせることができますが、「ライトハウス」ほどはっきりとはしていません。「君に続くこの道」の「君」を「アリス」と置き換えるのも不可能ではなさそうですが、これも確証はありません。私の読みが甘いようで、いったい何を歌いたかったのかよく分かりませんでした。 |
08.
秋 止 符 |
ベーヤンが、ついに「やってしまいました」(笑)。心配されていた「演歌臭さ」がついに炸裂してしまいました。「いくら書いても埋め尽くせない」の「な〜い」の歌い方、「んがくなりそうなそんな気がして」の「気がして」の歌い方などは完全に現在の「演歌のベーヤン」の歌い方です。懸命にこらえているけれどついつい出てしまった、そんな感じです。しかしこれはやむを得ません。全体のレビューでも触れた通り、べーやんはこの曲を大事に歌い続けているのです。ですから、もはや修正は不可能なのです。これでいいのです。 |
09.
テーブルという名の海 |
「アリス10」収録。このアルバムが発売になった1987年、シンジは「22歳」のヒットを飛ばした後、「抱擁」「棘」で新路線を確立した時期です。このような背景のもと作られたこの曲は、シンジが女性の心情を歌詞にするのはもはやお手のものとなっていた時期に放った充実の作品と評価できます。「テーブルという名の海」という題名の美しさ、詩の表現、メロディすべてにおいてまさに名曲の名にふさわしいと思います。それにしてもこの曲がとりあげられことに驚いた人も多いでしょう。かく言う私もその一人です。しかし、上記のことをよく考えれば、「0001」に収録されてもおかしくないのです。ただ、せっかく「0001」に収録するのだから、ベーヤンのコーラスが入った方が「アリス」という感じがしてより良かったと思います。これではシンジのソロの曲みたいです。 |
10.
何 処 へ |
「アリス6」収録。「隠れた名曲」に光をあてる、そんな意図でこの曲が採用されたようです。「哀愁系」(byキンチャン)というアリスの一側面がよくわかるので、この曲に光があてられたことは喜ばしいことだと思います。アレンジもいいし、歌唱の方も間奏時に「ン〜」とか「オ〜」とかが一杯入っていて楽しめます。曲の最後にベーヤンがなにやら英語をつぶやいていますが、これは「花はどこに行ったの」ですね。どうやら「何処へ」という題名とひっかけたみたいです。 |
11.
狂った果実 |
アレンジといい歌唱といい良くできています。ただここでもベーヤンの演歌臭さが何カ所かで出ています。「許してくれなんて」の「くれなんて」、「生まれてきたことを」の「きたことを」の歌い方はやってしまっています。でも曲のかっこよさ、アレンジの丁寧な再現、他の部分でのベーヤンのがんばりが、この曲の仕上がりを良いものにしてくれました。 |
12.
帰らざる日々 |
この曲では、現在のシンジが出ています。技術・表現力では磨きがかかっているが、パワーは減少している。そんな現在のシンジが、この曲をどのように歌うかは注目でした。結局シンジは現在の歌い方で素直に歌いきりました。さすがの横綱相撲という感じですね。ただ、パワーあふれる「さいごの〜」とか「あなたの〜」が聴きたかった人にとってはちょっと不満が残ったでしょうね。なんだか声量が落ちたように聞こえてしまうからです。 |
13.
遠くで汽笛を聞きながら |
この曲については、「秋止符」と同じ事が言えるでしょう。よく頑張って演歌っぽさを消しているのですが、「遠くで汽笛を聞きながら」の「きき〜ながら」、「さがしてみたい」の「みたい」など、かなり現在の演歌の歌い方が入っています。「この街で」の部分も同様。でもこれでいいのです。感動に変わりなし。なお、シンジのコーラスはハッとしてgood(爆)。 |
14.
チャンピオン |
大失敗です。レビューでも指摘した「君は出てゆく」の後のエレキギター。なんでんなにひずんだ音でなければならないのでしょうか。たしかに、「チャンピオン」には、これまでも「素描」やライブなどでひずんだ音が使われてきました。しかし上手くいった例があるでしょうか。曲調からしてどうしてもエレキギターが合いそうな気がしてしまうのですが、それは実は間違いだという事がこのアレンジではっきりしたように思います。
また、オリジナルでは「寂しそうに笑った」のあとにストリングスが入っていますが、これをキーボードで代用しているのもいただけません。「YOU'RE
KING OF KINGS」の後のキーボードも、余りにも無惨です。ライブを想定してこのようなアレンジになっているのでしょうが、あまりにも有名な曲・アレンジだけに、ちょっとしたことで全く劣ったものになってしまうのです。ここはきっちりストリングスを使うべきでした。
これらのことから、今回のアレンジにより、オリジナルのアレンジに手を加えるのがいかに困難かが浮き彫りになったという事が言えると思います。石川鷹彦氏はすごかったんですね。
ところで、歌唱の方ですが、カッコよかったんじゃないでしょうか。現在の「チャンピオン」を聞くことができたこと自体が感動です。だからその点については文句なし。 |
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