レイ・パーカーJr.「ウーマン・ニーズ・ラブ」 |
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先日、友人のところに遊びに行ったときのことでした。「最近レコードに凝っているんだ」と友人。そして、「まあみてくれ」と何枚かのレコードを見せてくれました。彼の趣味から言って、絶対シンジが含まれていないのは判っていたので、しぶしぶレコードを受け取り、ジャケットをみてぶっ飛びました。 レイ・パーカーJr「ウーマン・ニーズ・ラブ」! これはどう見ても「伽羅」とそっくりではないですか! このとき、私の中で、「伽羅」は「ウーマン・ニーズ・ラブ」の影響を受けている、という仮説が、冬の稲妻のごとく、輝きだしたのでした。そこで、今回は、「伽羅」と「ウーマン・ニーズ・ラブ」という表題のもと、この仮説に挑んでみたいと思います。 |
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1 レイ・パーカーJr.とは レイ・パーカーJr.といえば「ゴーストバスターズ」(1985)ですが、実は、それ以前はお洒落なブラコンを歌う実力派歌手だったのだそうです。そして、「ゴースト~」以前の代表作が「ウーマン・ニーズ・ラブ」(1981)なんだそうです。そしてこのアルバムは名盤とされているそうです。 80 sを謳歌したMTV世代には、おちゃらけソング「ゴーストバスターズ」(85年)のイメージが余りにも鮮烈だろうが、本当はミュージシャンとしてもプロデューサーとしてもかなりの凄腕……。レイ・パーカーJr.のキャリアの出発点は、スタジオ・ミュージシャンである。<インヴィクタス/ホット・ワックス>レーベルに始まり、数えきれないアーティストの録音にギタリストとして参加。スティーヴィー・ワンダーのバック・バンド、ワンダーラヴの一員として活動したりと、ソウル界の裏街道を歩んできた。しかし、77年に一念発起して、自己のグループ、レディオを結成。メロウ・ディスコの名曲「ジャック&ジル」(78年)の大ヒットにより、一躍メインストリームに躍り出る。続く、アーバン・テイスト満載のブラコンAOR「プリーズMr.DJ」や「ウーマン・ニーズ・ラヴ」(共に81年)は、デきる男女の夜を彩るテーマ・ソングとなった。プロデューサー/ソングライターとしてもシェリル・リンやダイアナ・ロスら、さまざまなアーティストを手掛け、ニューエディションの「ミスター・テレフォン・マン」(83年)をヒットさせるなど、飛ぶ鳥を落とす勢い。そして前述した、映画主題歌「ゴーストバスターズ」のマンモス・ヒット! ……だが、これを境にパーカーは急失速してしまう。『アフター・ダーク』(87年)、『アイ・ラヴ・ユー・ライク・ユー・アー』(91年)といった良質な作品を発表するものの、全盛期の勢いを回復させることは出来なかった。現在は何処へ……。(文
: 金子博之) そして、「ウーマン・ニーズ・ラブ」については、次の記述を紹介しておきます。 歌い手というよりもミュージシャン、サウンドコーディネーターとして高い評価を得ている彼だが、そんな事を忘れさせてくれるくらいの名曲が「A
WOMAN NEEDS LOVE」まさにスウィート。ダンスチューンでは「IT'S YOUR NIGHT」、「STILL IN
THE GROOVE」がファンキーでGOOD!バックボーカルにはシェリル・リンも参加しています。 「伽羅」についてはレビューを見ていただくことにして、早速どこが似ているかに行きます。 |
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2 どこが似ているか まあジャケットを見てください。一見すると似ていません(笑)。でも、ファンなら分かるはずです。明らかに影響を受けています。具体的に指摘してみましょう。
(1)背景が紫である もちろん似ていないところもあります。 しかしこれらの違いは、むしろ影響を受けていることの裏返しと解釈することが出来ます。顔の向きを変えたのはシンジのかっこよさを引き立たせるためだったと考えられるし、手の位置は、シンジの繊細な手を見せることでエロさを醸し出す効果を狙ったものと考えられます。 |
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3 なぜ「ウーマン・ニーズ・ラブ」が選ばれたのか ここからが問題です。「伽羅」と「ウーマン・ニーズ・ラブ」のジャケットが似ている、これだけでは単なる「元ネタ」もので終わりです。これでは考察がまだ浅いです。「なぜ」まで問を深めてこそシンジ研究と呼べるのです。では、なぜ「伽羅」のジャケットは「ウーマン・ニーズ・ラブ」に似ているのでしょうか? (1)このアルバムの発売時期は、「抱擁」「棘」という女性路線が確立した後ですから、シンジの音楽=お洒落な女性が聞く音楽、というイメージが出来ていた時期です。当然「お洒落」なジャケットが必要とされていたわけです。 これもかなり強引ですが(笑)、「ウーマン・ニーズ・ラブ」が選ばれたのは必然です。 |
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おわりに 今回は、かなり強引な展開でしたが、「伽羅」は「ウーマン・ニーズ・ラブ」のジャケットに影響を受けている、という結論を導きました。説得力があるかどうかはともかく(笑)、「なぜ」まで問を深められたのは収穫でした。今後も、「なぜ」という問まで深めるテーマを選んでいきたいと考えています。 |
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